【クチトンネル】ベトナム戦争のベトコンの戦跡をめぐる日帰りツアー

ベトナム
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2023年12月にベトナムのホーチミンに滞在していました。ホーチミン近郊にベトナム戦争の戦績【クチのトンネル】が観光名所として整備されていて日帰りツアーの募集があったので参加してきました。本記事ではその時の実際の体験をもとに情報をお伝えします。

ベトナム戦争とベトコン

ベトナム戦争とは

ベトナム戦争は、1955年から1975年にかけて、南北に分断されていたベトナムで起きた内戦です。この内戦は、冷戦下の国際的な対立が背景にあり、アメリカ合衆国とソビエト連邦がそれぞれ支援する勢力が衝突しました。

戦争の背景

  • ベトナムの分断: フランスからの独立後、ベトナムは南北に分断され、それぞれ異なるイデオロギーを持つ政権が誕生しました。
  • アメリカの介入: アメリカは、共産主義の拡大を防ぐために南ベトナムを支援し、北爆や地上戦を展開しました。
  • ベトコンの抵抗: 南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)は、北ベトナムの支援を受けながら、ゲリラ戦術を用いてアメリカ軍と戦いました。

戦争の経過と特徴

  • 長期戦: ベトナム戦争は、泥沼化する長期戦となり、アメリカは大きな犠牲を払いました。
  • ゲリラ戦: ベトコンは、ジャングルや地下トンネルを利用したゲリラ戦を展開し、アメリカ軍を苦しめました。
  • 枯葉剤: アメリカ軍は、ジャングルを枯らす枯葉剤を散布するなど、非人道的な戦術も用いました。
  • 反戦運動: アメリカ国内では、ベトナム戦争への反対運動が激化し、ニクソン大統領の辞任に繋がりました。

戦争の結果

1975年、サイゴンが陥落し、ベトナムは統一されました。しかし、戦争は多くの犠牲者と国土の荒廃をもたらし、ベトナム社会に深い傷跡を残しました。

ベトナム戦争が与えた影響

  • ベトナム: 長年の戦争で、ベトナムは大きな損害を受けました。経済の復興や社会の安定化には長い時間がかかりました。
  • アメリカ: ベトナム戦争は、アメリカ国民の間に深い傷跡を残し、アメリカの対外政策に大きな影響を与えました。
  • 世界: 冷戦構造の終焉を早めたという見方もあり、世界の政治情勢に大きな影響を与えました。

ベトコンの活動

ベトコンは、南ベトナムの農民や労働者を基盤に、ゲリラ戦を展開しました。

  • ゲリラ戦術: ジャングルや地下トンネルを利用し、アメリカ軍や南ベトナム政府軍に対して奇襲攻撃を繰り返しました。
  • 民衆の支持: ベトコンは、南ベトナムの人々の生活を改善することを訴え、多くの民衆の支持を集めました。
  • 北ベトナムとの連携: 北ベトナムからの物資や兵員の支援を受けながら、南ベトナム政府軍との戦いを継続しました。

クチトンネル

ホーチミン市北西部のクチ地区を中心に広がる、全長約250kmに及ぶ地下トンネル網です。ベトナム戦争中、ベトコンはアメリカ軍の激しい攻撃から身を守るため、この地下トンネルを生活の場、戦闘の拠点として利用しました。

クチトンネルの構造と機能

  • 複雑な構造: トンネルは、住居、病院、会議室、武器工場、厨房など、生活に必要なあらゆる機能が備わっていました。
  • 巧妙な罠: トンネルの中には、落とし穴やブービートラップなど、侵入者を捕らえるための様々な罠が仕掛けられていました。
  • 換気システム: トンネル内に空気を送り込むための換気システムも整備されており、長期にわたって生活することが可能でした。

クチトンネル日帰りツアー

現在、クチトンネルは観光地として整備されており、当時の様子を垣間見ることができます。

現地ツアーに参加

滞在していたのはホーチミンのファングーラオ通りでした。ここは旅行者が多く集まる場所でホテルや旅行代理店が多く並んでいます。どこの代理店も同じようなツアーを募集しています。クチトンネルツアーもその中のひとつです。

クチトンネルはローカルバスを乗り継いでも行けるのですが、乗り換えがスムーズではなく時間のロスなどを考えるとツアーでも高くは無いのかなと思います。後から思うとそもそも個人単独で中に入れたのか、入れてもガイドの説明がないと難しかったと思います。

その中に40万ドン(2400円)のツアーを30万ドン(1800円)に値引きしてくれるところがあったのでそこに参加しました。(価格は当時の価格、為替によるものです。)

ツアー当日の流れ

当日、朝8時にファングーラオの代理店で車に拾ってもらいました。車はワゴン車です。そこからいくつかのポイントで客を拾って正式に出発しました。客は10数名でほぼヨーロッパ人でした。日本人は私だけ、他に若い韓国人カップルが1組いました。アメリカ人が1人もいなかったのはたまたまなのか、ベトナム戦争の戦績ということでアメリカ人にとっては参加しにくいツアーなのでしょうか。韓国人カップルは知っていて参加していたのか若さゆえに知らずに参加したのかはわかりません。

途中、地元の工芸品の展示即売所に寄って正味1時間程度でクチトンネルにつきました。

ガイドは若いベトナム人男性が流暢な英語で説明をしてくれました。ネットには日本語ガイドのツアーもあるらしいのですが、価格がかなり高かったのでどうしてもという場合は調べてみてもいいかもしれません。

施設の説明とベトナム戦争についての映像資料

入場手続きが済んだらまずはクチトンネル史跡とベトナム戦争についての資料映像を鑑賞します。20分程度だったと思います。入場は時間ごとに区切られているようで1回100人ほどが会場にいました。

説明が終わったらグループに戻って、それぞれ異なるスポットからスタートします。一度に大人数が集中してしまわないようにする配慮です。

各スポットを廻る

・周囲にいくつもの落とし穴や罠などのスポットが点在しています。小グループごとに廻って説明を受けていきます。

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ベトコンが隠れた隠し穴などは実際に入ることができます。グループ全員とはいかないので数人ずつになります。

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罠についての説明を受けました。穴の中には刃物や尖った金属、しかも返しがついているので見ているだけでも痛そうです。1人動けなくなると最低2人が支えることになるので、殺傷というより兵力の削減を狙ったものだと思います。

その他にも大砲の弾の金属から武器を作る工場やタイヤのゴムからサンダルを作る工場などもありました。

最後に地下のトンネルに実際に入るスポットがありますが、ここは小柄なベトコンがやっと通れるほどの小さく細い穴なので、体の大きいヨーロッパ人や汚れてはいけない服を着ている人は入れないところです。

中腰か完全に四つん這いで中を這うのですがとてもきつい姿勢です。数十メートル程度だと思いますが、最後まで無理だと思う方は途中でも出口があります。

最後に、実際にベトコンが食べていた食事を再現した昼食を食べて終了です。蒸したタロイモとお茶でした。

実弾射撃オプション

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ツアーのメニューには入っていませんが、施設内には本物の銃やライフル、マシンガンを撃てる実弾射撃のオプションがあります。参加希望者は当日現場で申し込みをします。

銃の大きさにもよりますが、実弾1発が300円程度からあります。日本では絶対に体験できないので興味ある方は考えてもいいかと思います。

私も当日現場に行くまではどうしようかと思っていたのですが、実際に射撃の音を聞いて、その大きさと異様な雰囲気に怖さが先に立ち参加はしませんでした。受付と実際の射撃場は少し離れていたのですが、それでも耳を押さえないと痛いほどでした。

映画やテレビの射撃シーンとは全く違う緊張した雰囲気です。ベトナム戦争の戦績を体験した後に実弾が撃ちたくなるというのはどういう心理なのでしょうか。

クチトンネルを訪れる際の注意点

体力: トンネル内は狭く、湿気が高いため、体力に自信がない方は穴の中には入らないようにしましょう。
服装: 汚れてもいい服と長ズボンと運動靴を着用し、暑さ対策も万全にしましょう

まとめ

通常の観光名所を巡るツアーではできない体験でした。ホーチミンからも近く日帰りができます。英語のガイドでよければ現地のツアーが安く募集されています。ホーチミンに行かれるなら考えてもいいかもしれません。

ただ、ベトナム戦争やベトコン、枯葉剤、ライダイハンなどのことを知った上で参加されることをお勧めします。


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