インドネシア・ジャカルタでよく見るオンデル・オンデルとはなんだ?

インドネシア
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2023年6月初めてインドネシア・ジャカルタを訪問して街歩きをしていたところ、突然2メートル以上の大きな人形が音を鳴らしながらゆらゆらと歩いていました。なんの知識もない状態で見たのでびっくりしました。何かお祭りでもあるのだろうか?これは昔ドリフターズの全員集合に出ていたジャンボマックスみたいではないか。

この人形からは人間の手が出てきてどうやらお金を欲しがっているようでした。お祭りのご祝儀かなと思いましたが周りには他に人がいません。よくわからないままの初対面でした。

その後、ジャカルタの街のあちこちで赤い顔をした人形と対になって絵や駅前の人形などでたくさん見かけることになりました。

その名前がオンデル・オンデルという名前だと知ったのは2024年7月に2度目の訪問の時です。

オンデル・オンデルとは?

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オンデル・オンデルは、インドネシア、特にジャカルタでよく見かける巨大な人形です。赤い顔をした特徴的な姿をしています。ジャカルタの伝統文化であるベタウィ文化を象徴する存在です。昔は魔除けとしての役割が強かったのですが、現在は観光名物としての側面が大きくなっています。

  • 巨大な人形: 竹を骨組みにして作られ非常に大きなサイズが特徴です。
  • 赤い顔: 魔除けの意味合いがあり赤く塗られた顔が目立ちます。
  • 伝統的な衣装: 派手な衣装を身につけ伝統的な模様が描かれています。
  • 音楽に合わせて踊る: 伝統的な音楽に合わせて複数人で人形を操り踊ります。

オンデル・オンデルの役割

  • 魔除け: 元々は疫病や悪霊を払うための魔除けとして作られました。
  • お祝い事: 結婚式や開会式などお祝い事の際に登場し賑やかな雰囲気を演出します。
  • 観光名物: ジャカルタの代表的な観光名物として多くの観光客に親しまれています。

ベタウィ民族芸能とオンデル・オンデル

ベタウィ民族芸能は、インドネシアのジャカルタとその周辺地域に暮らすベタウィ族の伝統芸能の総称です。その中でも、オンデル・オンデルは、ベタウィ民族芸能を代表する存在と言えるでしょう。

ベタウィ民族芸能

  • ベタウィ文化の象徴: オンデル・オンデルは、ベタウィ族の伝統的な祭りやイベントで欠かせない存在であり、ベタウィ文化の象徴となっています。
  • 多文化融合の象徴: ベタウィ族は、様々な民族が混血した民族です。オンデル・オンデルも、その多様な文化が融合した結果生まれたと言えるでしょう。
  • 魔除けの役割: ベタウィ族は、イスラム教の影響が強い一方で、伝統的なアニミズム的な信仰も残っています。オンデル・オンデルは、このような多様な信仰が混在する中で、魔除けとして重要な役割を果たしてきました。

オンデル・オンデルはイスラムに反しないのかという疑問

ここで疑問があります。インドネシアはイスラム教徒が人口の90%近くにもなる世界最大のイスラムの国です。偶像崇拝を許さない一神教の教えと矛盾しないのかという疑問です。オンデル・オンデルの扱いは単に民間の芸能を超えて駅前やバスの中の絵や公共の場所でもたくさん見ることができます。調べてみたところ以下のようなものでした。

結論から言うと、一般的にオンデル・オンデルはイスラム教と矛盾するものではないとされています。

その理由をいくつか挙げます。

  • 多様な解釈: イスラム教は、地域や宗派によって解釈が様々です。インドネシアのイスラム教も例外ではなく、厳格な解釈から寛容な解釈まで、多様な考え方があります。
  • 伝統文化の尊重: インドネシアのイスラム教徒の多くは、伝統文化を尊重する傾向にあります。オンデル・オンデルは、インドネシアの伝統文化の一部として受け入れられているケースが多いです。
  • 魔除けとしての側面: オンデル・オンデルは、元々は悪霊を払うための魔除けとしての役割を持っていました。これは、イスラム教の教えである「神への信仰」と矛盾するものではありません。
  • お祝い事での使用: 結婚式や開会式など、お祝い事の際にオンデル・オンデルが登場することがあります。これは、イスラム教におけるお祝いの行事とも整合性があります。

ただし、注意すべき点もあります。

  • 地域や宗派による違い: インドネシアの全ての地域や宗派で、オンデル・オンデルが受け入れられているわけではありません。一部の厳格な宗派では、偶像崇拝に当たるとして否定的に捉えられる可能性もあります。
  • 個人の解釈: 最終的には、個人の解釈によって、オンデル・オンデルに対する評価は異なります。

社会問題の一面も

私が見たオンデル・オンデルの片方がお金を欲しがっていたように、芸能だけでなく物乞いの一面も出てきてこれが本来のベタウィ民族芸能を貶めることになるとして、2007年の地域規則で路上の物乞いが禁止され、これには物乞いのオンデル・オンデルも対象になっています。

しかし、キャラクターとしてのオンデル・オンデルはインドネシア・ジャカルタの地域に根付いているようですので、これからも愛されていくと思います。


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