フィリピン・パナイ島イロイロ市【ハロ・メトロポリタン大聖堂】

フィリピン

2024年8月にフィリピンのパナイ島イロイロに滞在しました。宿の近くにハロ大聖堂がありましたので毎日の散歩で立ち寄っていました。本記事では実際の体験をもとにして浮かんだ疑問を調べてみましたのでその結果をお伝えします。

ハロ・メトロポリタン・大聖堂

ハロ大聖堂は、フィリピンを代表する美しいカトリック教会の一つです。その歴史、建築様式、そして地元の人々にとっての特別な意味など、魅力が満載です。

ハロ大聖堂の歴史と建築様式

ハロ大聖堂は16世紀後半に建てられた歴史ある教会です。現在の建物は1874年に完成しましたが、1948年の地震で大きな被害を受けその後再建されました。

  • ロマネスク様式とゴシック様式の融合: ハロ大聖堂の建築様式は、ロマネスク様式とゴシック様式が融合した独特なものです。重厚な石造りの壁と尖塔が特徴的で、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
  • キャンドルの聖母: 教会のバルコニーには、約400年前に作られたという「キャンドルの聖母」と呼ばれるマリア像が安置されています。この像は、地元の人々から深く信仰されており、多くの巡礼者が訪れます。
キャンドルの聖母
鐘楼(ベルタワー)

ハロ大聖堂の魅力

  • 荘厳な内部空間: ハロ大聖堂の内部は、高い天井とステンドグラスが美しい空間が広がっています。静寂の中で祈りを捧げるのに最適な場所です。
  • 鐘楼: 教会と鐘楼は別々に建てられており、向かいの公園に建つ赤レンガの鐘楼は、1948年の地震で倒壊し、その後再建されたものです。
  • 地元の人々の信仰の象徴: ハロ大聖堂は、地元の人々にとって信仰の象徴であり、様々な宗教行事や祭りが行われます。

十字架のイエスの【INRI】の文字の意味

大聖堂の入り口を入った左手に十字架のイエス像があります。十字架の上部には【INRI】の文字が書いてあります。

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教会の十字架の上によく見かける「INRI」という文字は、ラテン語の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」という意味になります。

INRIの意味

  • I: Iesus(イエス)
  • N: Nazarenus(ナザレの)
  • R: Rex(王)
  • I: Iudaeorum(ユダヤ人の)

由来

新約聖書によれば、イエス・キリストが十字架につけられた際に、彼の罪状を示す札が十字架の上に掲げられました。その札に書かれていたのが、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」という言葉です。このラテン語の言葉を略して「INRI」と表記するようになったのが始まりとされています。

なぜ「INRI」が書かれるのか

  • イエスの身分を示す: イエスがユダヤ人の王としてローマ帝国に反逆したとされたことを示しています。
  • キリスト教の象徴: イエス・キリストの受難と復活というキリスト教の最も重要な出来事を象徴しています。
  • 信者の信仰告白: 信者はこの文字を見ることで、イエス・キリストの犠牲と復活を思い出し、信仰を新たにすることができます。

プロビデンスの目

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プロビデンスの目は、一般的に三角形の中に描かれた目であり、神の存在、神の見守り、そして神の全知全能を象徴しています。

  • 三角形: 神の三位一体(父なる神、子なる神、聖霊)を表すことが多いです。
  • 目: 神がすべてを見ている、つまり神は全知全能であることを表します。

由来と意味

この図像の起源は明確ではありませんが、古代エジプトや古代ローマの宗教に見られる太陽神や天体のシンボルにそのルーツがあると考えられています。キリスト教に取り入れられたのはルネサンス期以降で、神が常に人間を見守り、導いているという信仰を表すようになりました。

様々な解釈

プロビデンスの目には、様々な解釈があります。

  • 神の保護: 神が常に私たちを見守っていて、私たちを保護しているという安心感を与えます。
  • 道徳的な規範: 神がすべてを見ているという意識から、人々は道徳的な行動を促されます。
  • 歴史的な出来事: アメリカ独立宣言の後ろにあるピラミッドの上に描かれたプロビデンスの目など、歴史的な出来事とも結び付けられることがあります。

ロウソクの館(実際の名称は不明です)

大聖堂の右手にロウソクを灯す建物があります。教会でロウソクを灯すのはこれまでにもセブ島やミンダナオ島でもみたことはありますが、ここの建物は今までで一番大きな建物です。このハロ大聖堂はキャンドルの聖母が有名ですので特に力を入れているのかも知れません。

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建物の外壁に書かれている文字について調べてみました。

建物の文字:

For thou wilt light my candle: the LORD my God will enlighten my darkness. Psalm 18:28

日本語訳:

あなたはわたしの灯りをともし、 主なるわたしの神はわたしの闇を照らされます。 詩篇18篇28節

意味:

この聖書の言葉は、神への信頼と、神が私たちを導いてくれるという確信を表しています。

  • 「あなたはわたしの灯りをともし」: 暗闇の中で光を灯すように、神が私たちの人生に希望と喜びをもたらしてくれることを意味します。
  • 「主なるわたしの神はわたしの闇を照らされます」: 私たちが困難な状況や絶望的な状況に陥った時でも、神がその闇を照らし、道を見つけてくれることを意味します。

全体的な意味:

この言葉は、人生のあらゆる場面において、神が私たちと共にあり、私たちを導いてくれるという信仰の告白です。どんな困難な状況にあっても、神への信頼を忘れずにいれば、必ず光を見つけることができるというメッセージが込められています。

ロウソクの館の中のステンドグラス

建物の中には印象的なステンドグラスがありました。この意味合いについて調べてみました。

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全体的な意味合い

このステンドグラスは、キリスト教の信仰の中心となるイエス・キリストの生涯と教え、そして信者の信仰生活を表していると考えられます。各パネルに描かれた要素一つ一つが、それぞれ異なる意味を持ち、全体として一つの物語を構成しています。

各パネルの解釈

  • 中央上部のパネル: 太陽と鳥が描かれていることから、神の存在、聖霊、そして復活を象徴していると考えられます。太陽は生命の源であり、神の力と栄光を表し、鳥は聖霊の象徴としてしばしば用いられます。
  • 中央のパネル: イニシャルの「P」「Ω」、十字架、そして麦の穂が描かれています。「P」はアルファベットの最初、「Ω」は最後の文字を表し、神は始まりであり終わりであることを示しています。十字架はキリストの犠牲を象徴し、麦の穂はキリストの復活と永遠の命を象徴しています。
  • 中央下部のパネル: パンとぶどうが描かれており、これはキリスト教の聖餐式で用いられるパンとぶどうを象徴しています。聖餐式は、キリストの体と血を分かち合うことで、キリストと一体となることを表す儀式です。

ロウソクの館にある祈りの文

ステンドグラスの横に祈りの文が書かれています。この文についての日本語訳と意味合いについて調べてみました。

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英語原文

LORD JESUS, You are the Light of the world: we praise You, and ask You to guide us You, and ask You: Help us to love You faithfully, and to serve You faithfully, and to carry our daily cross with You. As I light this candle let it always remind me that You are our Light in darkness, our Protector in danger, and our saving Lord at all times.  

OUR LADY OF CANDLES, give me a mother’s protection, for I need your watchful care. Comfort me in my discouragements, solace me in my fatigues, raise me after my falls, reward me for my successes. Our Lady of Candles, bearer of Jesus, the Light of the world, please obtain for me this favor….. I shall always rely on your help, to be what Jesus wants me to be. I am his; I am yours, my good Mother!  

日本語訳

主イエス様, あなたは世界の光です。 わたしたちはあなたを賛美し、あなたにこう願い求めます。 わたしたちを導き、あなたを忠実に愛し、 忠実に仕え、日々十字架をあなたと共に担うことを助けてください。 このキャンドルに火を灯すとき、 それはいつも私に思い出させてくれます。 あなたは闇の中でのわたしたちの光であり、 危険の中のわたしたちの守り主であり、 そして、いつもわたしたちを救ってくださる主であることを。

キャンドルの聖母マリア様, 私に母のようなお守りをしてください。 私はあなたの見守る手を必要としています。 わたしの落胆の中に慰めを、 疲労の中に安らぎを、 失敗の後には立ち上がらせてください。 そしてわたしの成功に報いてください。 キャンドルの聖母マリア様、世界の光であるイエス様をお連れになった方、 この願いを叶えてください。 私はいつもあなたの助けを信じています。 イエス様が望むわたしになるために。 わたしは彼のもの、そしてあなたのものです。 わたしの良いお母様!

まとめ

ハロ大聖堂で気になったことを調べてみました。中には都市伝説の番組でしかみたことのないものもありましたので、この機会に本来の意味合いがわかりました。

私はキリスト教徒ではありませんし、教会には建築や美術、民俗学的な興味でしか訪問していません。日本ではそもそも教会に行くこともありませんので、海外に行った時くらいは現地の宗教施設に行ってみるのは意義があることだと思っています。


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